こんにちは。奈良の郷土料理「柿の葉寿司」のゐざさ-中谷本舗-です。
日本には、多様な寿司文化が全国各地に残っています。今でこそ、回転ずしやスーパーの総菜売り場などで手に取りやすいのは「握り寿司」ですが、「押し寿司」もその歴史は古いです。
今回は「押し寿司」とはどんなお寿司で、棒寿司とはどう違うのか?という観点から、話を進めようと思います。
押し寿司とは?
押し寿司(押鮨)を広辞苑で調べると、以下のように出ています。
方形の型の中にすし飯を詰め、その上に魚介類・卵焼などの種(タネ)をのせて押しかためて作る鮨。箱鮨。大阪鮨。
広辞苑 第七版(岩波書店)
方形の型、つまり四角い箱のようなものの中に、具材を敷き、すし飯を詰めて押して作るのが押し寿司です。押しを効かせてつくるお寿司の総称と考えてよいかもしれません。江戸を中心に広まった「握り寿司」に対して、関西地方の寿司文化の一つですね。押し寿司の具材の有名な物の一つに「さば」があります。「バッテラ」も有名です。
私たちがつくっている「柿の葉寿司」も柿の葉に具材とすし飯を置き、包んだ後に木の箱に入れて押しを効かせることから、「押し寿司」の一種に数えられます。
ところで、広辞苑の「押し寿司(押鮨)」の項には、類語として「箱鮨」「大阪鮨」とありますが、箱鮨ってご存じでしょうか?
箱寿司
四角い箱にすし飯を詰め、鯖や鯛、海老、穴子に、おぼろや玉子焼、しいたけなどの具材を敷き詰めて押しを効かせたのが、箱寿司です。木箱から取り出すと、小さく食べやすいサイズに切り分けます。これも、「押し寿司」の一種ですね。
箱寿司は、明治時代に大阪で誕生したと言われています。「握り寿司」は、先述したように江戸で生まれ、酢の誕生とともに広まりました。
握り寿司が誕生する前から上方を中心に食べられていた押寿司は、鯖などを具材に使っていました。明治になって、持ち帰り用にも使いやすいお寿司として「箱寿司」が登場しました。具材は日持ちがするように調理されています。さらに、寿司シャリも上方で好まれた、酢に塩、昆布、みりんを用いて“はんなり”した味です。
色々な具材を使うので、モザイク模様で見た目も華やか。高級志向のお寿司と言っても良いかもしれません。実際、おもてなしの席によく使われていたそうです。
ちなみに、大阪寿司は箱寿司やバッテラ、巻寿司など、大阪の街でよく食されていた「押し寿司」の総称です。
棒寿司と押し寿司は違うの?
では、押し寿司と棒寿司の違いはどこにあるのでしょうか?
押し寿司は、専用の箱に具材と寿司飯を詰めて押しを効かせるお寿司のことでした。棒寿司は、広辞苑でどう解説されているのでしょうか。
細長い木箱に材料を詰めて作る押し鮨。布巾や巻きすで巻いたものもある。
広辞苑 第七版(岩波書店)
つまり、棒寿司も「押し寿司」の一種ということですね。京都の鯖棒寿司などが有名です。
写真のようなお寿司を「押し寿司」というのも正しいですし、「棒寿司」といっても正しい、ということが、わかっていただけたかと思います。
ゐざさの棒鮨
ゐざさでは、柿の葉寿司のほかに上方の寿司文化に根付いた様々な名産寿司を作っています。もちろん、棒鮨も人気の商品の一つです。
昆布巻さば棒鮨
厚みのある、脂の乗った「さば」を贅沢に使い、一枚の黒板昆布で巻き上げた、ゐざさのロングセラー商品です。昆布と「さば」の旨みが口いっぱいに広がる一品。
創作あなご棒鮨
ふっくら焼き上げた「あなご」に、錦糸卵・干瓢・椎茸などを入れ、青のりを混ぜ込んだシャリを合わせた、ゐざさの創作棒鮨です。甘辛く味付けした「あなご」に、青のりの磯の香りが鼻に抜けるシャリの相性が抜群の一品です。
その他にも、色々な棒鮨を取り揃えております!
最後に
今回は「押し寿司」の定義や、「棒寿司」の違いなどについて解説してきました。寿司の歴史ともかかわりのあるテーマで、興味深い点も多かったのではないでしょうか。
ぜひ、今回の記事を通して関西の寿司文化「押し寿司」をより楽しんで食べてくださいね!
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