日本に残る多様な食文化「郷土寿司」とは

柿の葉寿司のこと

こんにちは!奈良の郷土料理「柿の葉寿司」のゐざさ-中谷本舗-です。

私たちが取り扱う「柿の葉寿司」は奈良の土地に根差したお寿司です。このような「ご当地すし」とも言える「郷土寿司」は全国各地にたくさんあります。

今回は、全国の郷土の文化や歴史が生んだ「郷土寿司」をいくつかご紹介します。日本の多様な寿司文化に少しでも触れていただければ幸いです。

そもそも郷土寿司とは

寿司と一言にいっても、様々な姿のものがあります。世界的にも有名なのは「握り寿司」ですが、私たちがスーパーなどで見かけるお寿司だけをとっても、「巻寿司」や「いなり寿司」、「ちらし寿司」などたくさんの種類があります。

色々な寿司がある中で、各地の風土に根差した寿司、地元でとれたものや手に入れにくかった貴重な食材などを使って作られた寿司、それが「郷土寿司」です。

郷土寿司にはどんなものがある?

少し前になりますが、2018年10月に「味ぽん」などで有名な「ミツカン」が「あなたの地元のお寿司は何位?全国郷土寿司人気ランキング発表!~寿司に関する実態調査~」という調査結果を発表しました。

この調査の中で、「知っている郷土寿司」のランキングや「食べてみたい郷土寿司」のランキングが発表されました。「知っている郷土寿司」は京都の「サバ寿司」、「食べてみたい郷土寿司」は「江戸前握り寿司」がそれぞれ1位でした。ちなみに柿の葉寿司は「知っている」郷土寿司ランキングで4位にランクインしています。

ランキング結果ももちろんですが、全国に郷土寿司があり、各地で親しまれていることを多くの方に知っていただける調査結果だったと思っています。

今回は、ミツカンが選んだ47都道府県の郷土寿司の中からいくつかピックアップし、それぞれについて、どんなお寿司かを調べてみました。

【東京】江戸前握り寿司

元々、寿司は発酵食品でした。「なれすし」といい、いわば「魚の漬物」。コイやフナなどに米飯と塩を混ぜて、重石を置き、数ヶ月から数年かけて、熟成させると、川魚のたんぱく質が乳酸発酵して酸っぱくなり、独特のうま味が出ます。

今のように、寿司に酢を使うようになったのは江戸時代。特に、江戸の街では独自の文化が生まれました。手軽に食べられる蕎麦やてんぷらなどの屋台が大流行。すしも屋台で売られるようになり、手軽に食べられるようになります。そこで誕生したのが、手で握った酢飯に、江戸湾で獲れた新鮮な魚介類をそのまま載せる「握りずし」でした。江戸湾の魚介類を使うので「江戸前ずし」と呼ばれるようになりました。

今では、寿司と言えば「握り寿司」をイメージしますが、江戸(東京)で誕生し、また「酢」が広く使われ始めたことが関係しているというのは、興味深いですね。

江戸時代ごろの寿司については、以下の記事にまとめています。

【京都】サバ寿司

福井県・若狭と京都とをつなぐ「鯖街道」。この存在が、京都でサバ寿司が根付いた大きな理由といってよいのではないでしょうか。

塩で締められたサバは、福井から京都まで数日かけて運ばれます。ちょうどよい塩加減になったサバをシャリに合わせて食すようになったのが、京都のサバ寿司の始まりです。今でも京都のたくさんの店でサバ寿司を販売されています。

【富山】マス寿司

富山旅行のお土産や、駅弁などでなじみ深い「マス寿司」。塩漬けした「マス」を使った押し寿司で、わっぱの容器に笹で包まれているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

その歴史は江戸時代半ばまでさかのぼります。富山藩士で料理人の吉村新八が、三代目藩主・前田利興にアユの寿司をつくったのが始まり。気に入った利興が、当時の将軍・吉宗に献上。この寿司を吉宗が大変賞賛したことで、富山名物となったそうです。そののち、富山を流れる神通川のマスを使うようになったと言われています。

全国的に「マス寿司」が知られるようになったのは大正時代に駅弁として販売され始めてからとされています。

【大阪】大阪ずし

江戸(東京)の握り寿司に対して、大阪では押寿司が主流でした。大阪すしとは、「バッテラ」や棒鮨などの総称ですが、中でも「箱寿司」はその代表格でしょう。

木箱に酢飯を敷きタイやサバ、エビ、アナゴなどの具材を載せます。その上から押しをかけて、小さく切り分けるのが大阪の「箱寿司」です。今のような形になったのは明治時代、船場の「吉野寿司」が考案したものとされています。

【三重】てこね寿司

三重県でも、伊勢神宮のおひざ元・伊勢市周辺で食べられている郷土寿司が「手こね寿司」です。漁師が獲れた魚を船の上でさばき、醤油などのタレで絡めて酢飯と合わせた寿司です。

三重県はカツオの漁獲量が多い地域。またマグロもたくさん獲れ、手こね寿司に用いられる魚は、カツオやマグロが主です。

【秋田】ハタハタ寿司

秋田県では、とても馴染みのある魚「ハタハタ」。下処理をしたハタハタを塩で数日漬けます。その後、麹を混ぜたご飯や人参、下部などの野菜などとともに桶に詰めて漬け込んでつくられたのが「ハタハタ寿司」です。発行させて食すことから「なれすし」の一つといってよいでしょう。

ハレの日に欠かせない秋田の名物。冬の保存食として長く愛されている一品です。

【長崎】大村寿司

長崎県大村市で古くから伝わる伝統的な寿司が「大村寿司」です。ゴボウや椎茸、かんぴょう、はんぺんなどを具材に、上から錦糸卵を敷き詰めた、華やかな押し寿司です。

約500年前の室町時代、戦に敗れた領主が大村の地を追われた後、領地を取り戻した際に、旧領主が戻ってきたのを喜んだ領民たちがそれを祝うのに押し寿司を作ることとなりました。しかし急なことだったため、木製の長方形の箱「もろぶた」を用い、押寿司をつくったのが始まりとされています。

【奈良】柿の葉寿司

奈良・吉野地方の郷土料理「柿の葉寿司」。紀伊半島にも「鯖街道」はあったとされており、熊野灘で獲れたサバに塩を施し、行商人たちが吉野の村々を売り歩いていました。それを村人たちは、鯖を薄くスライスし、酢飯に合わせ、手近にあった柿の葉で包み木箱に入れて、重石で押しを効かせて作ったのが、柿の葉寿司の始まりです。

保存食として、またハレの日のごちそうとして吉野地方では親しまれてきました。近年では、奈良の名産として、お土産やギフトなどに用いられています。

柿の葉寿司の歴史については以下の記事でも詳しく書いています。

最後に

今回は、「郷土寿司」をキーワードに全国の多様な寿司文化をご紹介いたしました。この寿司の文化を守り、受け継いでいくことが柿の葉寿司のメーカーである私たちの役目であると思っています。今回の記事で、それぞれのご当地すしを食べてみたい、と思ったらぜひその土地を一度訪れて食べていただければと思います。

通販等でお取り寄せができるお寿司もあります。私たちが扱う柿の葉寿司も通販でご購入いただくことができますので、少しでもご興味を持っていただけたのなら、ぜひ公式通販サイトもご覧くださいませ。

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